ごあいさつ

このたび、会員、関係者の皆様のご支援・ご協力を賜り、日本看護倫理学会第9回年次大会を2016年5月21日・22日の2日間、京都市で開催できますことを心より感謝申し上げます。

今回の年次大会のテーマは、「看護における“アドボカシー”を問う」と致しました。

周知の通り、わが国は、他国に例を見ないスピードで超高齢・多死社会を迎えています。このため、2025年を目処に、高齢者の尊厳の保持と自立した生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域包括システムの構築が急ピッチで進められています。また、2013年8月には社会保障制度改革国民会議報告書がまとめられ、これからの地域医療再編成の基本的な方向は「病院完結型医療から地域完結型医療へ」であることが明確となりました。

こうした国の方針を受けて、病院においては、退院支援や退院調整が積極的に行われていますが、この退院をめぐる支援や調整は患者の意向に沿っているのか、患者の権利を守ることができているのか、患者を真に尊重しているのかなど、看護師は疑問を覚えてジレンマを感じることも少なくありません。

年次大会では、会員の皆様はもちろんのこと、さまざまな場で活躍されている看護職の皆様とご一緒に、今後、看護が果たすべき役割の一端を「アドボカシー」を通して、探究する2日間にしたいと思います。ご参加いただく皆さまの有意義な時間となるよう、関係者一同準備を進めております。

5月の京都は木々の緑がとても美しく、ゴールデンウィークの慌ただしさも落ち着き、いつもの佇まいを取り戻しております。活発な意見交換の後には、世界で最も魅力的な京都の景観をお楽しみ下さい。

多くの皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

日本看護倫理学会第9回年次大会
大会長 田村 恵子
京都大学大学院医学研究科 教授